ついに日の目見た世界最高水準の国産ジェットエンジン。世界の旅客機では日本製部品が重要不可欠に
XF9-1は試作エンジンであるとはいえ、推力は15トンを超える。米国の「F-15」やロシアの「Su-35」といった世界の一線で活躍する戦闘機のエンジンと同等以上の出力を持つ。
これまで、日本は一流の戦闘機用エンジンを自力で開発できなかった。
FSX問題で日本が強く出ることができなかった要因の一つが、自力ではどうしてもエンジンを開発できる目処が立たず、米国に頼らざるを得なかったことであった。
戦後70年以上できなかったことが、ようやくできた。日本の航空産業史上、画期的なことである。
XF9-1の性能を見て、感慨深い思いに浸っている航空関係者は多いのではと思う。日本のジェットエンジンもよくここまできたと――。
実は、日本のジェットエンジン業界は、日本独自のものも含め、優れた技術を多く持ち、世界のジェットエンジンの性能向上に貢献してきた。
エアフォースウンなどのごく一部の例外を除けば、日本の技術の入ったジェットエンジンを積まない旅客機は現在、空を飛ばないまでになった。
その現状を振り返りつつ、XF9-1の意義を考えてみたい。
世界のジェットエンジンを乗っ取りつつある日本
世界のジェットエンジンは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)、プラットアンドホイットニー(PW)、英ロールスロイス(RR)の3社が君臨する世界である。
残念ながら、日本はこれらの航空エンジン大手と異なり、日本企業ブランドのジェットエンジンを作れていない。
しかし、航空エンジン大手のジェットエンジンは、日本製部品、日本の技術が使用されている。そうした例は枚挙に暇がない。世界のエンジンの内部を日本勢が乗っ取りつつあるように見えなくもない。
日本の重工各社が、GE、プラットアンドホイットニー、ロールスロイスのエンジンの開発・生産に関与している。成田空港や羽田空港にいるような飛行機のエンジンは、10〜20%が日本製である。
例えば、日本航空が使用するボーイング「787」の「GEnx」では、高圧コンプレッサーや低圧タービンなど、日本勢が15%以上を製造する。
また、エアバス「A320」やボーイング「737」の新型に搭載される「PW1100G」では、低圧コンプレッサー、燃焼器、ファンケースなど23%を製造する。
これら部品の多くは、開発コストや生産能力の分散の側面が強く、日本でなければ作れないというものばかりではない。
しかし、ジェットエンジンのタービン、コンプレッサー、ファンをつなぐシャフトのように日本のIHIが優位性を持つものもある。
特に難易度の高い長さ3メートルを超えるシャフトの世界シェアは70%である。
そのシャフトを支えるベアリングも日本製が増えつつある。NTNは近年、PW1100Gと「Trent-XWB」のシャフト用ベアリングを受注している。
PW1100Gはプラットアンドホイットニー社で最も多く生産されるエンジンであり、トレントXWBもロールスロイスの主力大型エンジンである。
シャフトの素材も日本が強みを持つ。
以下ソース
2018.7.13(金
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53545