上司「旦那さんをクビにしたくなきゃ……どうすればいいか分かるね?」ニチャア 人妻「は、はい……」
人妻「一体どんな……?」
上司「新製品のデータが入ったUSBメモリを紛失してしまったのだ……」
人妻「ああっ……」
上司「旦那さんをクビにしたくなければ……君ならどうすればいいか分かるね?」
人妻「は、はい……」
人妻「私にそれを探し出せ、と……」
上司「その通り!」
人妻「ええ、やります」
人妻「ところで、主人はどういう状況で紛失したと……?」
上司「○×駅までは確かに持っていたそうだが……そこで失くしてしまったらしい」
人妻(あの人が重要なデータが入ったメモリを落とすとは考えにくい。きっと盗まれたんだわ)
人妻(となると、考えられるのは――プロのスリ!)
人妻(○×駅近くを縄張りしてるスリというと……)
人妻「分かりました、すぐ出発します!」シュッ
上司「消えた……! もう目星をつけたのか……」
スリ師「おぉ~、さっきのサラリーマン、結構持ってやがった!」
スリ師「へへへ……今日も儲けたぜ」
人妻「相変わらずの腕ねえ」
スリ師「!」
スリ師「あ、あんたは……!」
人妻「こうして会うのは何年ぶりかしら?」
スリ師「な……なんの用だ!」
人妻「一つ質問に答えてくれればそれでいい」
スリ師「……?」
人妻「あんた人に頼まれて、あるサラリーマンからUSBメモリを抜き取ったでしょ?」
人妻「誰に依頼されたかを教えて欲しいのよ」
スリ師「……さぁ、なんのことだか」
スリ師「ああああああああああっ!?」
スリ師「俺の右手ぇぇぇぇぇ!?」
人妻「あんたは左利きだったわね。またしらばっくれたら左いくわよ」
スリ師「ううう……!」
人妻「もう一度聞くわよ。誰に雇われたか教えなさい」
人妻「あんたほどのスリ師が、雇い主の素性を調べてないなんてことないハズだものね」
スリ師「わ、わ、分かった、話すゥゥ!」
人妻(△△社といえば、ライバル企業……やはりそういうことだったのね)
人妻「ありがと」
スリ師「あうう……」
人妻「これで替えのパンツでも買いなさい」パサッ
スリ師「……」
スリ師(相変わらず……恐ろしい女だぜ……)
人妻「ここね」シュザッ
人妻(データをライバル社に利用される前に、取り戻さないと……)
人妻(さっそく敷地内へ……)
ガルルルル…
人妻「!」
人妻(番犬が放し飼いにされてるとはね……)
番犬「ガァッ!」バッ
人妻「……」ギロッ
番犬「ガッ……!」
人妻「お手」
番犬「……」サッ
人妻「いい子ね」クスッ
人妻「!」
警備員A「なんだ貴様は!」
警備員B「侵入者だ!」
警備員C「ひっ捕えろ!」
人妻「ふぅ……邪魔よ」ギロッ
警備員A「ぐえっ!」
人妻「はっ」ドカッ!
警備員B「ぐおおっ……!」
人妻「もいっちょ」バキッ!
警備員C「うぐぅ……!」
人妻「いい運動したわ」
人妻「……」
人妻(ビル内は広いし、あちこちセンサーがあって、捜索が捗らないわ)
タタタッ
人妻「……!」ハッ
人妻(この部屋……“くさい”わね)
人妻(入ってみましょう)ガチャッ
人妻「……」
ガシャァンッ!!!
人妻「!」
人妻「壁が落ちてきた! 閉じ込められたわ!」
人妻「これは……!? 毒ガスッ!」
人妻「ま、まずい……吸うわけには……いかな、い……」
人妻「う、うぅっ……」ガクッ
ドサッ…
黒服「クックック、まんまと罠にかかりおって。愚かなネズミめが」
黒服「どれどれ……」スッ…
人妻「……」
黒服「ふむ……呼吸は停止している。心臓も止まっているな」
黒服「さて、社長にネズミ退治の報告に行くか」
社長「ほう、なかなか美しいネズミではないか」
黒服「おそらく、先日スリを用いて手に入れた例のデータを取り戻しに来たものかと」
社長「しかし、我が社のセキュリティの前ではネズミは所詮ネズミだったというわけか」
黒服「おっしゃる通りです」
社長「報告ご苦労。このネズミを処理したら、例のデータを分析して……」
社長「我が社が先に画期的な新製品を作るのだ!」
人妻「……」ピクッ
二人「――え?」
社長「うわああああっ!?」
黒服「貴様、罠にかかったはずじゃ……!」
人妻「罠にかかったのはわざとよ。さっさと黒幕にたどり着けると思ったから」
黒服「それに、確かに死んでいたのに……!」
人妻「仮死状態になるくらいたやすいことよ」
人妻「さぁて、例のUSBメモリ、返してもらおうかしら。大人しく返すなら見逃してあげる」
黒服「誰が返すか! こっちこそ、今すぐあの世に送り返してやる!」チャッ
パンッ! パンパンッ!
社長「どこへ……」
人妻「こっちよ」サッ
ガシッ!
黒服「く、首を……! ぐる、じ……!」
人妻「半日くらい眠ってもらうわ」ギュゥ…
黒服「あぐぅ……」ガクッ
社長「か、返すものか!」
人妻「仕方ないわね。じゃあ、ちょっと殴る蹴るさせてもらうわ」
社長「ぼ、暴力なんかには屈しないぞ!」
人妻「まるで被害者みたいないい方して、盗人猛々しいとはこのことね」
社長「う、うるさい!」
人妻「じゃあ……どこまで耐えられるか見せてもらおうかしら」
社長「女王サマァ~ン!」
社長「あふぅぅぅぅぅぅ! もっと……もっと痛めつけて下さいませ!」
人妻「写真もいっぱい撮ってあげる。何かあったらばら撒くからね」パシャッ! パシャッ!
社長「あはぁぁぁぁぁん! 最高ォォォォォォ!」
人妻「じゃあ、女王から命令よ。盗んだデータ返して?」
社長「はいっ、返します!」サッ
人妻「いい子ね」クスッ
社長「ボ、ボクもです!」
人妻「それじゃ、もう二度とこんなことするんじゃないわよ」
人妻「さようなら」シュバッ
社長「……女王サマ」キュンッ
…………
……
上司「さすがは……我が社の誇る敏腕産業スパイだった女だ。仕事が早い」
人妻「昔のことですわ。表向きはOLでしたし」
上司「ところで……これからも我が社のために尽くしてくれる気はないかね?」
人妻「ありません。私は引退して、寿退社しましたので」
上司「旦那さんをクビにしたくなければ……といわれたらどうするね?」
人妻「……」
人妻「もし今後、主人の処遇を盾に、私を脅すような真似をしたら……」
人妻「会社のスキャンダルというスキャンダルを全て世間にばら撒き」
人妻「あなたのことも社会的に抹殺します。いっそ本当に死にたいと思うくらいに」
上司「……!」
人妻「そして、あなたの破滅や会社の倒産を見届けたら、私は夫と静かに生きていきますわ」
人妻「これが単なる口だけの脅しか、それとも……あなたならお分かりね?」
上司「わ、分かった……。今いったのは……忘れてくれ……」
人妻「お帰りなさい」
夫「実は僕、重要なデータが入ったUSBメモリを失くしちゃったんだけど……」
人妻「まぁ、大変」
夫「運よく見つかって、怒られるだけで済んだよ。本当に危なかった……!」
人妻「よかったわね、あなた。きっと日頃の行いがよかったのよ」
おわり
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