日米欧との根本的な国力格差を韓国の経済専門家が厳しく指摘 同じような真似は到底できない
緊急災害支援金の給付が始まり10日が過ぎた。職場の休廃業や働き口が見つからず厳しい人たちにはとても重要なお金だ。彼らには町内のスーパーで食料品を買うのに使えるだけでも大きく役立つ。ところが心配事ができた。果たしてこうした無差別な現金給付でいつ終わるかもわからない新型コロナ問題を乗り越えられるかという話だ。余計な心配ではない。いま国際社会のあちこちで目を皿にして韓国をうかがっている。3カ月間に3次追加補正予算まで行う韓国の財政が完全なのか、いざという時に韓国証券市場から資金を引き揚げるべきかを判断しなければならないためだ。
国際通貨基金(IMF)の李昌ヨン(イ・チャンヨン)アジア太平洋担当局長が厳重な警告を飛ばした。彼はメディアインタビューで「経済が厳しくなるたびに現金給付を主張する政治家を国民が好むならばわれわれの将来は明るくない」と話した。その上で「ドルやユーロを刷る米国や欧州と違い韓国が財政を乱用すればウォン安の恐れがある」と警告した。傾聴すべき話だ。
「財政を乱用すればウォン安につながる」とはどういう意味なのか。この警告を受け入れるなら財政に依存する政策を相次いで出すことはできない。現政権は財政拡大にためらいがない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は当初から「国内総生産(GDP)比の国の債務比率がなぜ40%を超えてはならないのか」と尋ねた。国の蔵を守る企画財政部が国の債務比率40%に執着すると、そうするのではなく財政を拡大しようという注文だった。40%は公式ではないが根拠はある。欧州連合(EU)は経済統合過程で国の債務比率上限を60%と提示した。財政赤字はGDPの3%を上限にした。
ここには相応の理由がある。国の債務が増えれば財政赤字が拡大する。こうした問題を防ぐ装置が国の債務比率という話だ。欧州が60%ならば安保リスクがある韓国は40%程度が耐えられる限度というのが過去の政府責任者の判断だった。現政権はこうした判断を否定する。米国をはじめ先進各国で国の債務比率100%を超えてもうまくいっているのになぜ韓国は40%に縛られているのかとの主張だ。しかも新型コロナ問題克服のためには果敢な財政拡大は避けられないという立場だ。さらには一国の中では自国通貨でいくらお金をたくさん刷っても問題ないという現代貨幣理論(MMT)まで取り上げて財政拡大を要求する。
ここで私たちは韓国が米国、日本、ユーロ圏とは違うという事実を直視しなければならない。外国人投資家がドルを持ってきて韓国証券市場で株式・債券を買い入れるのは為替相場が安定しているという前提があって可能だという点を忘れてはならない。国の債務が増えれば財政赤字が拡大するほかない。これは経済活力が落ち企業が金を稼ぐことができなくなり、政府の財政が厳しくなるというシグナルとなる。国際格付け機関は国と企業の格付けを下げるほかない。外国人投資家は通貨危機の時のように株式と債券を売って韓国を離れるかもしれない。
この過程で為替相場が不安になる。こうなれば4000億ドル以上ある外貨準備高は力を出せない。「国の債務をもう少し増やせばどうか」という時ではないということだ。国際機関は韓国に財政を拡大するよう注文する。だが優先順位に基づいて絶対に必要で生産性を高められる所に使えと言った。規制改革を並行してこそ効果が出ると付け加える。ブルームバーグ・インテリジェンスは韓国の財政を見守れとの信号弾を国際社会に打ち上げた。韓国の成長率が最悪の流れに進めば国の債務比率が50%に達するだろうと警告状を飛ばした。理由は何か。韓国の財政健全性がそろそろ疑われ始めたという話だ。財政を多く使えば既成世代が青年層に負債を継がせる心配は心配でもない。そうする前に国の格付けから下がっていくのがもっと大きな心配だ。ビル・クリントンが「経済こそが重要なのだ、愚か者」と言ったように、問題は格付けという話だ。
キム・ドンホ/論説委員
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版 2020.05.20 10:56
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