テレビ朝日のトンデモ報道に中国が露骨に便乗し始めたと判明 武漢肺炎の責任をアメリカに転嫁
中国で新型コロナウイルスによる肺炎の発生地が中国ではない可能性があるとする主張が相次いでいる。中国の地方政府、専門家、官営メディアが連日、リレーでもするかのように、「発生地は不確実だ」とする主張を展開しているのだ。米国で発生した可能性もあるとの主張まで登場した。新型コロナウイルスが全世界に急速に広まったことを受け、中国が責任回避のために「足抜け」しようとしているのではないかともささやかれる。
中国紙の環球時報(英語版)は2月29日、「新型コロナウイルスの発生地はまだ不確実だ」と題する記事で、米国がウイルスの発生地である可能性もあると報じた。記事は「米国などでは感染源が不確実な例が増え、発生地に関する論議が複雑化した」と指摘した。その上で、中国疾病予防統制センターの専門家、曽光氏の発言を引用し、「米国でインフルエンザで死亡した患者が実は新型コロナウイルスで死亡した可能性があるとするテレビ朝日の報道を注目すべきだ」と伝えた。テレビ朝日は2月21日、昨年秋から流行した米国でのインフルエンザの死者の一部が新型コロナウイルスによる患者だった可能性を指摘した。
しかし、報道内容は米疾病対策センター(CDC)が公式に否定したものだ。曽氏は死者約1万2000人を出したインフルエンザについて、米国はもっと透明に情報共有すべきだと主張した。
中国が新型コロナウイルスの発生地ではないとする主張は2月26日から始まった。武漢市はソーシャルメディアで「当局が確認した新型コロナウイルスの最初の確定患者陳氏は(発生地とされた)武漢華南海鮮卸売市場への訪問歴がなかった」と指摘した。陳氏がどういう経路で感染したかは明かさず、これまで通説だった発生地を否定した格好だ。
27日には中国で「SARSの英雄」と呼ばれる中国工程院院士、鐘南山氏が広東省広州市で記者会見し、「新型コロナウイルスが中国で真っ先に出現したが、直ちに中国で発生したとは見なせない」と主張した。
28日にスイス・ジュネーブで開かれた世界保健機関(WHO)の記者会見では、中国・中央テレビ(CCTV)の記者が鐘氏の発言に言及し、「新型コロナウイルスが他地域から来た可能性はあるのか」と質問した。これに対し、WHOのマリア・ファン・ケルクホーフェ(Maria Van Kerkhove)新興感染症対策部門責任者は「まだ確実な答えは得られておらず、現在調査中だ」と答えた。
中国メディアは一斉に「WHOが発生地の不確実性を認めた」と大々的に報じた。環球時報は1日、「新型コロナウイルスの発生地が不確実なのに(中国に)汚名を着せるべきなのか」とする記事を掲載した。
今年1月の段階で新型コロナウイルスの発生地として華南海鮮卸売市場を指摘していた中国が別の主張をする理由を巡っては、拡散責任を避け、悪化した国内世論を鎮めることが狙いと受け止められている。中国はこれまで新型コロナウイルスの発生について、他国に謝罪したことはない。習近平国家主席はむしろ2月18日、「中国の徹底した防疫措置が世界の公共安全に大きく貢献した」と主張した。
中国がこうした態度を取る背景には、正確な発生地は断定が難しいとの計算が働いているとの見方もある。新型コロナウイルスが世界各地に広がり、変異を繰り返す状況で、正確な起源を探すのは困難だからだ。
P>イ・ボルチャン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2020030280119
2020/03/02 14:00