中国政府がデンマークを恫喝した事実が地元TV局のミスで発覚 HUAWEI製品の採用を迫る
中国政府が、デンマークの自治領のフェロー諸島政府に対し、貿易協定をちらつかせてHuaweiとの第5世代移動通信システム(5G)契約を迫っていたと報道されています。このことは、内密に行われた会話の内容を、地元のテレビ局が誤って録音していたことにより発覚しました。
フェロー諸島政府の貿易大臣であるHelgi Abrahamsen氏は、2019年11月15日に貿易省で行われたフェロー諸島の公共放送局KringvarpForoyaのインタビューで、Huaweiとの契約についての見解を述べる予定でした。Abrahamsen氏はこのインタビューの少し前に、インタビュー会場の隣室で貿易省長官とオフレコの打ち合わせをしましたが、この時KringvarpForoyaがAbrahamsen氏のジャケットに付けたマイクを誤ってオンにしたままだったため、Abrahamsen氏の発言が録音されていたとのこと。
貿易省長官との会話の中でAbrahamsen氏は、駐デンマーク中国大使のFeng Tie氏がデンマーク政府に対して「フェロー諸島の通信大手ForoyaTeleがHuawei主導の5Gネットワ??ーク構築を許可しなければ、中国はフェロー諸島との自由貿易協定を締結しない」と圧力をかけていたことを明かしました。フェロー諸島では11月11日に、Bardur a Steig Nielsen首相らとFeng Tie氏との会談が行われており、大使による強迫的な発言はこの時発せられたものと見られています。
デンマークの日刊紙Berlingskeがつかんだ情報によると、Nielsen首相と会談した際の中国大使の口調は「非常に強引」だったとのこと。これに対し、Nielsen首相は不明瞭な言葉づかいで「私やフェロー諸島政府は、5Gネットワーク構築にかかる契約先選定プロセスには関わっていません」という旨の返答を行い、言葉を濁したとのことです。近年、フェロー諸島から中国へのサーモンの輸出量が急増していることなどを背景に、フェロー諸島政府は中国との貿易協定の締結に多大な努力を払っており、貿易協定の締結に失敗すればフェロー諸島経済は大きな痛手を被ると見られています。
Abrahamsen氏の発言を誤って録音したKringvarpForoyaは、その内容をテレビ放送で報道しようとしましたが、ニュースが流れる22分前に裁判所によって差止め命令を受けてしまったとのこと。裁判所の命令は、報道によりデンマークと中国の関係が損なわれることを危惧したフェロー諸島政府の求めによるものだとされています。Berlingskeは「Huaweiは中国政府とはなんら関わりがない民間企業だと公言しています。しかし、今回の音声記録により、中国政府がヨーロッパの5Gネットワーク契約に口を挟んで、Huaweiをねじ込もうとしていることの最初の事例が示されました」と述べました。
Huaweiはインターネット上で大規模なキャンペーンを実施して、中国政府との癒着疑惑の払拭に努めていますが、専門家により虚偽だと一蹴されています。
Berlingskeは中国大使館にコメントを求めましたが、返答はなかったとのこと。また、Huaweiも「関知していない」と答えたとのことです。一方のフェロー諸島政府も、デンマークの放送局DRの取材に対し「司法当局により係属中のケースについてはコメントを控える」と回答しています。
12/11 14:00 GIGAZINE
https://article.auone.jp/detail/1/3/7/48_7_r_20191211_1576040412497467