日韓関係を解説した朝日新聞の元政治部長がトンデモすぎる結論に到達 安倍首相は何も悪くないぞ
安倍首相と文在寅大統領という不幸な組み合わせ
緊張の走った11月末、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)は失効直前に韓国政府が破棄通告の効力を停止した。しかし、これを日韓関係の正常化への第一歩というには、まだまだ道は険しそうだ。なぜここまでこじれてしまったのか?
朝日新聞元政治部長の薬師寺克行氏が解説する。
先日、101歳で亡くなった中曽根康弘元首相は、首脳外交の重要性を認識し、国民に見える形で外交を実践した政治家だった。
「首脳外交こそが外交の本質なのです。外交とは首脳間における力と知恵の競争です」と語っていた中曽根氏は、官僚がすべてをおぜん立てし、首相は彼らが作った筋書きに沿って演じればよかったそれまでの外交の姿を変え、首脳同士が真剣に向き合う外交を展開した。
交通手段はもちろん通信手段も格段に進化した今日、主要な外交問題は大統領や首相が直接話し合って解決していく「首脳外交の時代」になった。その結果、二国間関係はしばしばトップの信頼関係や相性が大きく左右する。そういう観点から見ると、安倍首相と韓国の文在寅大統領という組み合わせは、どうやら最悪の巡り合わせのようだ。
弁護士として韓国の民主化闘争にかかわってきた文大統領は、政治家というよりも思想やイデオロギーを前面に出す運動家タイプだ。自分の信念に基づいて目標に向かって直線的に行動してきた。現実を直視し、対立する利害を調整し、合意形成を目指すという調整型政治家の対極にあるようだ。
その典型が対北政策だ。文大統領は経済関係を中心に南北関係を改善することに力を入れ、金正恩委員長に首脳会談をはじめ様々な提案をし続けている。しかし、トランプ大統領との交渉に活路を見出そうとしている金委員長は、文大統領の提案や要求をほぼすべて無視している。
それでも文大統領の言動は変わらない。昨年秋の欧州訪問時には北朝鮮に対する国連の経済制裁の緩和を各国首脳に働きかけたが、逆に北朝鮮にはより厳しい姿勢は必要であると反論されている。
国内的には政治的に対立する保守勢力を標的に「積弊清算」「親日清算」などのスローガンを掲げて、李明博、朴槿恵大統領という保守政権時代に政権中枢を担った人物を次々と逮捕するなど強硬な姿勢を見せている。保守勢力を徹底的に糾弾し弱体化すれば、自らが属する進歩勢力の長期政権維持が可能になるというのがその戦略だ。
もともと文大統領は反日の政治家ではない。しかし、残念なことに文大統領の内政・外交の政治姿勢がことごとく日韓関係にはマイナスとなっているのだ。拉致問題も抱えることから日本政府は、北朝鮮に対し極めて厳しい姿勢を続けている。文大統領からすれば日本の姿勢は自らの方針の妨げにしかならない。
また文大統領の保守勢力批判は、保守政権時代の「慰安婦合意」など日韓両国政府間の外交的成果の否定につながってしまう。徴用工に対する大法院判決問題や従軍慰安婦問題がここまで深刻な問題になったのも、文大統領が保守政権が作り上げてきた日韓間の外交的果実を保守勢力否定の文脈で受け入れてないためである。
そして青瓦台に集まった政権幹部もその多くが民主化闘争の元運動家であり、文大統領同様、現実より理念や主義主張を前に出す人たちの集団となっている。
北朝鮮が次々とミサイル発射実験を繰り返しても、「北朝鮮のミサイルの能力は我々の安全保障に深刻な脅威にはならない」「韓国も北朝鮮に引けを取らない位ミサイル発射実験をしている」(鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全室長)という調子である。
特に事実上、外交の司令塔と言われている国家安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長は対北政策の中心人物であるとともに、GSOMIA破棄を強く主張するなど対日強硬派で知られている。こうした政権の特徴が官僚レベルでの協議や交渉も難しくしている。
●薬師寺克行
東洋大学社会学部教授。東京大学文学部卒業後、朝日新聞社入社。主に政治部で国内政治や日本外交を担当。政治部次長、論説委員、月刊誌『論座』編集長、政治部長、編集委員などを経て、現職。著書『現代日本政治史』(有斐閣)、『証言 民主党政権』(講談社)『公明党 創価学会と50年の軌跡』(中公新書)ほか多数。
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安倍首相と文在寅大統領という不幸な組み合わせ
12/9(月) 17:00配信