「嫌韓を増やしたのはテレビ朝日の看板番組だ」と識者が指摘 誰が嫌韓を煽っている?
■各局のワイドショーでは嫌韓暴言が乱発されている
嫌韓ムードを週刊誌や一部の雑誌が煽っているという面はたしかにあるが、ポスト、新潮、文春を全部合わせても、読者数は100万に届かない。
影響力でいえば、テレビが圧倒的である。そのテレビのワイドショーでも嫌韓発言が相次いでいる。
韓国へ行った日本女性が、韓国の男に乱暴されている映像を見て、「日本男子も韓国女性を暴行しなけりゃ」と『ゴゴスマ』(CBCテレビ)で発言した武田邦彦中部大学特任教授の発言は、人間として恥ずべきであるが、各局のワイドショーではそれに近い嫌韓暴言がバカなコメンテーターたちから度々飛び出しているのである。
そんな中で、いまや『報道ステーション』よりも、テレ朝の報道の「顔」になったと持て囃されている『モーニングショー』(以下、『モーニング』)でも同様のことをやっている。
世間ではテレ朝の社員でありながら、割合、ズバズバとモノをいうと、玉川徹の評価が高いようだが、私は懐疑的だ。
■「タマネギ男」の疑惑を1週間以上も繰り返している
私は、毎朝、飯を8時過ぎに食べるので、フジの『とくダネ! 』とテレ朝の『モーニング』を交互に見ることが多い。
9月5日の『とくダネ! 』は香港の民主派女性幹部・周庭(22)をインタビューしていたが、チャンネルを『モーニング』に回して、思わず「まだやってんのかよ」と声が出た。
「タマネギ男」こと、前・大統領府民情首席秘書官の曺国(チョ・グク、54)の疑惑をまたやっているのだ。
この原稿を書いている時点で、1週間以上連続してやっていた。
日韓関係が戦後最悪といわれる中で、チョやその娘たちの不正入学疑惑や、蓄財疑惑をこれだけやる意味は何だろう。番組のCP(チーフプロデューサー)ならこういうだろう。「視聴率がいいんですよ」と。
ワイドショーは「ナッツ姫騒動」や朴槿恵前大統領と友人の崔順実の収賄事件の時も、連日、面白おかしく取り上げていた。
■ムダに国民感情を煽っているのは誰なのか
今回のチョ・スキャンダルも、だから韓国という国は度し難いという論調である。これを見ている視聴者が韓国好きになるはずはない。反韓とはいわないまでも、嫌韓人口を増やしていることは間違いない。
9月5日(木曜日)は、チョの話題に続いて、ポストの嫌韓記事を取り上げ、玉川徹が司会を始めた。
タイトルは「緊急特集 嫌韓感情とメディアの関係とは」。コメンテーターたちと玉川が、「週刊誌を売るためにやっている」「あの企画は小学館の上のほうからやれといわれたそうだ」「韓国を叩くことが愛国心」と口々にいった後、玉川がこう締めた。
「メディアに関わっている人間は、ムダに国民感情を煽ってはいけないと、僕は思う」
オイオイ、それって天ツバじゃないのか。
チョ・スキャンダルをやるのはいい。だが、1週間以上、毎日1時間もやるのは、嫌韓ムードを煽っているのではないのか。私はポストと五十歩百歩だと思うのだが、玉川に聞いてみたいものである。
ジャーナリスト・元木 昌彦