「日本と韓国は互いに大切な存在だと政府が気付け」とマスコミが訴え 今は第三次韓流ブームの真っ最中
“3度”あった韓流ブーム
日韓の政府同士の関係は急速に悪化しているが、ここ3年ほど、日本は3度目の韓流ブームのさなかにある。コリアンタウンとして有名な東京・山手線の新大久保駅は、週末に入出場が制限されることがあるほど混雑した時期もある。最初の韓流ブームが来た2000年代前半にも、新大久保の町は女性たちであふれていたが、その頃は駅から自由に出入りできないほどではなかったと思う。
ヒートアップしたのは、TWICEなどのアイドルグループの人気から始まった、若い世代が中心のブームだからかもしれない。また、新大久保は、本格的なアジア圏の飲食店や食材店が充実した町でもある。そういう店が目当ての人もいるだろう。
ブームは3度目だが、韓国料理のブームは2度目と言える。少女時代、東方神起などのミュージシャンたちが人気になった2010年頃は、特に料理が注目されなかったからだ。その意味で、2度目のブームは広がりが少なかったと言えるかもしれない。
最初のブームと今のブームの食の違いを比べると、時代の変化が分かる。最初のブームはきっかけが三つあった。一つ目は、2002年にサッカーの日韓ワールドカップ共催があり、韓国や韓国文化への関心が高まったこと。日本の一次リーグ突破という快挙もあり、盛り上がっていたところへ2003年、NHKのBS2で運命的な悲恋を描いた連続ドラマ『冬のソナタ』の放送が大ヒット。三つ目が、2004年に『宮廷女官チャングムの誓い』(NHK BS2)がヒットしたこと。こちらは、李氏朝鮮時代の宮廷で料理を担当した女官が主役。その料理の描写に注目が集まった。どちらも人気を受けて、地上波でも放送されている。
NHKの『きょうの料理』は、くり返し韓国料理を特集。巷でも韓国料理が流行った。それまで日本で知られていた韓国の食文化といえば、焼き肉にキムチぐらい。それがブームの結果、ビビンバ、冷麺、チヂミ、サムゲタン、ナムルその他さまざまな韓国料理が知られるようになった。
『宮廷女官チャングムの誓い』が、薬食同源を重んじる料理をたくさん紹介していたこともあり、韓国料理はヘルシーというイメージが広がった。意外に辛くない料理が多く、野菜をたくさん使っていて食べやすい。
羽田―ソウル間のフライト時間が2時間半と、国内並みに近いこともあり、噂では週末に韓国へ飛び、食材を買い出しする人も多かったらしい。
今回の人気食メニューは「ビジュアル重視」
今回のブームは、平成が終わる2018年頃から火がついた。女子高生などの間で韓国風の化粧やファッションが流行っている。人気の料理は、肉野菜炒めにピザ用チーズをのせたチーズタッカルビ、棒状の揚げパンにチーズを入れたチーズハッドグ。また、牛乳を混ぜた氷を細かく削り、きな粉やココアなどをまぶしてケーキのようにデコレーションした韓国式かき氷・パッピンスなどだ。
並べてみると、今回ブームになっている料理はいかにも10代にウケそうな、カロリーが高くビジュアル重視の傾向が強いことがわかる。
流行が日本にも飛び火する。そのぐらい韓国は近い国になっているのだと思うと、隔世の感がある。
私が子どもだった1970年代、韓国は独裁政権下にあり、日本に来た政治家の金大中が突然失踪するなど不穏な事件もあった。もちろん今も、韓国とは領土問題や従軍慰安婦問題などで政治的な火種を抱え、貿易摩擦が発端で政府同士の対立は大きくなっている。残念な嫌韓ブームもある。
しかし、こんな風に20年の間に3度もブームが起き、両国間の行き来も活発になった。「近くて遠い国」と言われた時代は遠ざかったのではないだろうか。
2016年、訪日外国人数で韓国は2位。1年間で約509万人にもなる。一方、日本人の渡航先は、2018年のトップは韓国で、約295万人。行き来がトップレベルの国なのだ。さらに新旧の在住者たちがいる。韓国では日本式のパン屋がブームになっている。日本では韓国の若者に人気の食べものがヒットしている。また、韓国には日本の小説が翻訳されて書店に並び、日本では韓国小説ブームが起こっている。
私たちのブームがやがてムーブメントとなり、お互いが大切であることを政府に気づかせるきっかけにならないか、と密かに願っている。
クックパッドニュース
https://news.goo.ne.jp/article/cookpad/life/cookpad-33422.html