「韓国が日米の先端技術を中国に流したから管理強化された」と専門家が暴露 米国の中国包囲網の一環である
日本による韓国への「輸出管理強化」が大きな話題になっている。この輸出管理であるが、かつてのCOCOM(対共産圏輸出統制)の後継であり、国際的な紳士協定である「ワッセナー・アレンジメント」への適正な対応にすぎない。東西冷戦の終結によって、COCOMはその役割を終えた。しかし、テロリストやテロ支援国家が消えたわけではなく、そのような国や組織に武器が渡らないようにしなくてはならない。それを防ぐ仕組みがワッセナー・アレンジメントであり、この協約に従う形で、各国が国内法を整備し、輸出管理を行っている。(経済評論家・渡辺哲也)
今回、韓国への輸出管理の強化について日本政府は、国家間の信頼関係が失われているという前提の上で、「不適切な事案があったため」予防的処置をとったとしており、あくまでもいわゆる徴用工問題に対する制裁ではないという立場だ。
一部報道によれば、韓国向けに輸出されたフッ化水素などが韓国企業の中国工場に再輸出されていたとみられ、これは不適切な運用といわざるをえない。そして、韓国が「ホワイト国」から外れた場合、これは違法行為になる。また、ホワイト国から外れた場合、個別の輸出許可が必要な品目は1100品目以上に及ぶとされている。しかし、あくまでも、これは禁輸処置ではなく、輸出側、輸入側双方の管理体制がきちんとしていれば、申請後90日程度で許可が下りるものである。問題は、対応する法整備すら不全状態にある韓国がきちんと管理体制を整えられるかであり、日韓の正常な情報共有と対話の体制を構築できるかということになる。
そして、これは米国の国防権限法(2019)とECRA(米国輸出管理改革法)による世界的な輸出管理強化の流れに合わせたものである。昨年、米国は新たな軍事的脅威に対峙(たいじ)するため、これまでの武器転用可能技術に加え、人工知能(AI)やハイテク、インフラ技術などを安全保障の対象とし、昨年10月から、輸出管理の段階的強化を開始した。
中国・華為技術(ファーウェイ)への規制もこの輸出管理厳格化の一部であり、年内をめどに「中国製造2025」とほぼ重複する14分野にこれを拡大する予定である。あくまでも米国の輸出管理は米国技術が25%(テロリスト向けは10%)以上含まれるものだけに限られるが、米国は同盟国に対して、貿易協議などを通じ同調を求めており、当然、日本や日本企業もその対象になっている。
つまり、米国が輸出規制をした品目や技術が米国原産技術を含まない日本のものであっても輸出を規制してほしいとしているわけだ。ある意味、今回の韓国への輸出管理強化は、米国が新たに始めようとしている新輸出管理と連動したものであり、中国への依存度を高めるとともに技術移転を積極的に進める韓国に対する危機管理の強化ともいえるのである。いくら日米が輸出管理を厳格化しても、韓国を通じてそれが流出してしまえば意味がないのである。
現在、米中貿易戦争の激化を受けて、世界中の企業が国際的な供給網(グローバルサプライチェーン)の再構築を始めている。韓国がホワイト国から外れた場合、このサプライチェーンから外れることは必須であり、いったん外れると、韓国は数十年という時を失うことになるだろう。米国を選ぶのか、中国を選ぶのか。選ばなかったものの末路といってもよいのかもしれない。
【プロフィル】渡辺哲也
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190727-00000507-fsi-bus_all
7/27(土) 7:15配信 SankeiBiz記事