「USB4」が普及すれば、規格乱立という問題が今度こそ解決する(かもしれない)
インテルは、転送速度が速いデータ伝送技術「Thunderbolt」を無償ですべての人が利用できるようにすることを、2年近く前から約束してきた。そしていま、その約束を果たそうとしていると同時に、次世代のUSB規格に衝撃を与えている。
非営利団体のUSBインプリメンターズ・フォーラムが、USBの次世代仕様「USB4」の詳細を今後数カ月で公開すると発表した。なにより重要なのは、USB4がインテルの「Thunderbolt 3」をベースとしてつくられたことが確認された点だ。これによりUSBは、従来のようにThunderbolt 3と競合することがなくなる。
これが実際のところ、何を意味するのか。要するに、パソコンと周辺機器の接続にアダプターを使う必然性が減り、そしてデータ伝送速度が飛躍的に向上するということだ。
どのくらい速いのか。Thunderbolt 3は、1秒間で40ギガバイトを送受信できる。これは4K動画なら約30秒分相当で、「USB 3.0」の2倍となる。Thunderbolt 3はまた、ディスプレイの接続とデータ送受信を同時に処理することもできる。ディスプレイの解像度にこだわりがあるなら、2台の4Kモニターに同時に電力を供給できる。
規格乱立が招いた混乱
日常的なデータ転送の多くがクラウドに移行していることを考えれば、このニュースのどこが問題なのかと不思議に思うかもしれない。それはもっともな話で、クリエイティヴな分野のプロでもない限り、多くの人は「MacBook Pro」のThunderbolt 3ポートをデータの転送だけでなく、充電にも使っているだろう。
それと同時に、データ転送の“密度”は高まるばかりだ。「動画のようなデータの密度は高まっています」と、ムーア・インサイト&ストラテジーの技術アナリストを務めるパトリック・ムーアヘッドは解説する。それに、クリエイティヴな人々の人口は拡大するばかりだ。
状況のややこしさを実に明確に物語っているのが、アップルの例である。MacBook Proには、2つのThunderbolt 3ポートが備わっている。これに対して「MacBook」には「USB Type-C(USB-C)」ポートが1つで、Thunderbolt 3ポートと見た目がまったく同じなのだ。
USB-CケーブルをThunderbolt 3ポートに差し込むこともできるが、転送速度はUSB並みになってしまう。さらにUSB4が実現する前に、USB規格は「USB 3.2 Gen 1」「USB 3.2 Gen 2」「USB 3.2 Gen 2×2」という3段階でパフォーマンスの向上が予定されており、状況がより複雑になる。まったく、わけがわからない。
実は「Thunderbolt 3」とは完全統合されない
USB4とThunderbolt 3が統合されることで、こういった問題の多くが解決する。例えば、USB-Cのポートやケーブルを使うと何ができるのか、ほぼ正確に理解できるようになる。
ここで「ほぼ正確に」と表現したのは、理由がある。インテルはUSB4とは独立したかたちで、今後もThunderbolt 3の開発を続ける計画だからだ。それらの2つ規格が足並みを揃えて進化していく保証はない。
「規格の併存による問題が顕在化するかどうかは、USBのワーキンググループ次第でしょうね」と、ムーアヘッドは語る。「とても楽観視できません。実際にワーキンググループは大混乱を巻き起こしてきたわけですから」
それに新しい規格を広めるには、ある程度の時間を要する。インテルが今年後半に公開を予定する「Ice Lake(アイスレイク)」という開発コード名の次世代プロセッサーは、Thunderbolt 3の技術を搭載した最初のチップになる。これまでパソコンメーカーなどがThunderbolt 3を実装するには、専用のチップを組み込む必要があった。
その手間にもかかわらず、インテルによるとThunderbolt 3を採用したパソコンは、設計ベースで400種を数える。さらにディスプレイやストレージ、ドックなど450の周辺機器も加わるという。
以下ソース
https://wired.jp/2019/03/08/thunderbolt3-usb4/
引用元: http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/bizplus/1552155451/