安田解放の身代金3億円を日本政府が間接的に払うことになると関係者が暴露 なにか密約を結んでいた?
トルコ国境からシリアに潜入し取材中だった、安田純平さん(44)が現地の反体制武装勢力に拘束されてから約3年。昨日夜、菅義偉官房長官が記者会見し、安田さんが解放され、シリア国境に近いトルコ南部アンタキヤの入管施設に保護されたと明かした。
外務省職員はすでに現地に到着しており、日本時間の24日午後3時頃、最終的な本人確認を行う予定だ。
これまで武装勢力から銃を突き付けられた映像が流され、やつれた状況が一方的に動画で流されるばかりで、解決の糸口が見えなかった安田さん。
今回の解放については、2週間ほど前から「解放されそうだ」との情報が流れていた。
10月17日午後には、解放された模様との情報が流れ、マスメディアが裏どりに走ったこともあった。安田さんの解放交渉には「官邸のテロ対策の特別チームが日本政府の窓口となって当たっていました。政府が頼ったのが、シリアの隣国、トルコとカタール。菅官房長官が記者会見で、解放の情報がカタールから寄せられたというのは、そのためです」(政府関係者)
武装勢力との仲介に、トルコの現地人が派遣されていた。そこでは何度も、身代金要求があったという。
「当初の身代金は何十億円とか言ってましたが、時間が経過するにつれ、金額は下がっていった。最後は数億円とも聞かされた。しかし、日本政府は身代金を支払わないという大前提があり、交渉はなかなか進みませんでした」(前出・政府関係者)
内戦が続いているシリア。今年になって政府軍が優位に立ち、シリア各地で攻撃をかけて制圧。あまりに残虐な空爆、砲撃に国際的非難が高まり、国連安保理でも停戦決議が採択された。政府軍は今年夏には、ほぼシリア全土を手中におさめた。反政府の武装勢力の拠点とされるのが、安田さんが囚われていたイドリブ県。イドリブ県は旧ヌスラ戦線の勢力が強い地域で、同組織は外国人ジャーナリストらを誘拐して身代金を得てきた。そこに総攻撃を政府軍がかけようと計画が進んでいた。
「政府軍の総攻撃となると、武装勢力は安田さんの身柄をどうするのかわからない。最悪の場合もあると、緊張しました。あの時はロシア、トルコに感謝でした」(前出・政府関係者)
日本政府はその後もトルコやカタールを経由して、交渉を進めた。
9月中旬に政府軍の総攻撃は回避されたが、武装勢力はいつ大きな衝突になるか、時間の問題だった。
「武装勢力もずっと安田さんを拘束していることが重荷になってきたという情報がトルコやカタールからもたらされた。ここがチャンスだと、動いてもらった。9月下旬からは、24時間体制で対応にあたっていた」(前出・政府関係者)
そして昨夜、安田さんが解放されたとカタールからもたらされ、トルコも確認した。
「菅官房長官は先週から、いつ解放されるかとずっと緊張状態だった。解放が伝えられるとホッとした表情で、よかった、よかったとスタッフをねぎらっていた」(自民党幹部)
日本政府は身代金を払わないとしていた。だが、一部の報道では、カタールから身代金が支払われたとの情報がある。
日本も過去、1999年8月キルギスタン南部で日本人技術者が誘拐された際、200万ドルとも300万ドルともいわれる身代金が支払われたのではないかと報じられた。
「今回はカタールが支払ったというんだから、それでいいじゃないか。トルコとカタールが良好な関係。そして、安倍首相はじめ日本と両国もいい関係にあることが無事解放の一番の理由だ。今度は日本が何かの時に形をかえて、カタールやトルコにお礼をすればいい。杓子定規に払っちゃいけないとやると助かる命も助からない。そこは阿吽の呼吸、“密約”を結んでやったんでしょう。まあ、何十年かして、歴史が振り返られるようになった時に真相がわかるんじゃないか。とにかく無事でよかったじゃないか」(前出・自民党幹部)
そこに、ロシアとトルコが会談し、イドリブ県の一部に非武装地帯をつくることで、合意。なんとか、政府軍の総攻撃作戦は止まった。
2018.10.24 12:57週刊朝日
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