在韓米軍の活動制限が米国の了承のないまま強行される最悪の情勢に突入 米韓の監視能力が激減する
12日に韓国国会で行われた国政監査で、平壌での南北軍事合意により安全保障体制の空白を懸念する指摘が相次いだ。これに対して韓国軍制服組トップの朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長は「(指摘には)認められない点が多い」と反論したが、これこそ納得しがたい言葉だ。
今回の南北軍事合意により軍事境界線から南北10-40キロの範囲が飛行禁止区域に設定され、この区域では空からの偵察ができなくなった。北朝鮮は休戦ライン周辺に100万人以上の兵力を配備し、また北朝鮮が保有する火力のほとんどにあたる1100門以上の長射程砲を設置している。これらを使った朝鮮人民軍による軍事挑発の動きを事前に察知するため韓国軍はドローンなどを使っているが、そのほとんどは探知可能な距離が10-20キロしかないことから、軍事合意の内容が施行されればこれらの偵察活動はほとんどできなくなる。
また既存のRF16偵察機などが活動できる範囲も制限された。これらの情報がなければ敵に精密攻撃を行う兵器も使い道がなくなってしまう。侵略を阻止し平和を守るには、朝鮮人民軍の動向をリアルタイムで監視することが何よりも重要だが、平壌軍事合意によってこれができなくなったのだ。
このような懸念に対して韓国軍は「韓米両国軍の協力により、遠距離偵察システム、有人・無人の高高度偵察機、人工衛星などを使い北朝鮮を常に監視しているので問題はない」と繰り返すばかりだ。この言葉が事実なら、なぜこれまで韓国軍は無意味な偵察を行うため、巨額の税金を投入して偵察機まで購入したのか。
米軍が使用するU2などの偵察機や偵察衛星は、北朝鮮の後方にある核施設などの監視が主な任務だ。韓国軍が軍団クラス以下の部隊に独自にドローンなどを配備したのはそのためだった。また米軍の偵察機などが前方地域の監視に使われるとしても、24時間ずっと韓半島(朝鮮半島)上空にとどまることはできない。つまり前方はもちろん後方に対する監視能力も一気に低下してしまうのだ。
米軍の偵察機などから円滑に支援を受けられるかどうかも疑問だ。米国のトランプ大統領は在韓米軍の撤収を平気で口にするような人物だ。また米軍は飛行禁止区域の拡大に今のところ完全に同意していないという。そのためもし韓米同盟に亀裂が入れば、韓国軍はいわば目隠し状態で戦うしかない。もしかすると韓国軍は「まさかそんなことが」と甘く考えているのではないか。
世界史を振り返ると、軍縮を行う際には相手の動向をしっかりと把握できる状態であることが必要だ。それには相互に対する監視と偵察能力をむしろ強化しなければならないが、今回の軍事合意はそれとは正反対で、逆に偵察能力にまで制限をかけるものとなった。この南北軍事合意は来月1日から施行される。北朝鮮との非核化交渉は今なお決して楽観できない状況にあり、最悪の場合はただの政治ショーとして終わることも考えられる。
これに対して軍事合意は韓国の安全保障体制にただちに実質的な変化をもたらす。韓国軍内部に懸念の声が全くないとは考えられないが、それでも誰もが口を閉ざし周囲の顔色をうかがうばかりだ。
2018/10/13 09:01
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