韓国のSLAPP訴訟で被害者が泣き寝入りしているとAFP通信が暴露 訴えた女性に男性側が反撃
☆ たまたまスレです
◆名誉毀損で真実が罪に 「リベンジ訴訟」と闘う韓国社会
韓国ソウルのある女性会社員が性的暴行の被害を警察に届け出ると、相手は名誉毀損(きそん)の法律を盾にさまざまな訴えを起こしてきた──。これが意味するのは、同国では真実が必ずしも防御策として機能するとは限らないということだ。
身の安全のため「D」とだけ名乗ることを希望したこの女性は、AFPの取材に「彼は、次から次へと、さまざまな理由で私を訴えてきた。名誉毀損、侮辱、偽証、脅迫、そしてセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)まで」と話し、そして「何か月も、食べ物がのどを通らなかった。飲み物を口に入れることも眠ることもままならず。沼にはまって、抜け出せないようなな感覚に陥った」とその時の状況を説明した。
その後、相手の男は強姦罪で有罪となり、実刑2年の判決を言い渡された。一方、Dさんへの告訴はすべて取り下げられた。
だがDさんが体験した法的な「泥沼」は、韓国では珍しいことではない。この国では法律によって名誉毀損は犯罪となり、真実を話したことで他者の社会的評判に傷がつけば、それ自体が罪と見なされることもある。
韓国では、性的虐待の容疑者が相手に沈黙を強いるか告訴を取り下げさせるために、逆に裁判を起こそうとするケースが後を絶たない。警察に被害届を出すこと自体は名誉毀損には当たらないが、被害者が公に訴え出ることで名誉毀損となる恐れがある。
警察や検察によってケースが取り下げられるか、または被告が無罪となった場合、今度は冤罪(えんざい)にあたるとして、被害者側が訴追されることも考えられるのだ。韓国女性弁護士協会のソ・ヘジン氏は、「制度全体が女性を萎縮させてしまっている」と述べ、こうした状況が、性的虐待の容疑者にいわゆる「リベンジ訴訟」を起こさせる格好の材料を提供するものとなっており、多くの女性が泣き寝入りを余儀なくされていると指摘する。法律の専門家や女性団体の多くもこれと同様の見解を示している。
■警察も加害者に味方
韓国はITや経済の面では発展しているが、社会的に家父長制の価値観が根強く、男女の賃金格差や企業の女性役員の比率では、経済協力開発機構(OECD)加盟国中でほぼ常に下位につけている。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、韓国の殺人事件被害者のうち女性が占める割合は52%で、これは他国に比べて異常に高い数値となっているという。
米国と中国はそれぞれ22%、女性に対する暴力で注目を集めることの多いインドですら41%だ。アジアを席巻する韓流ドラマでは、男性の登場人物が女性の登場人物よりも身体的に優位に立つ形で恋愛感情が表現されるというお決まりの展開があり、他国のファンからは「韓流ドラマの手首つかみ」と批判する声もある。
しかし昨年以降、女性のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を告発する世界的な「#MeToo(私も)」運動が韓国でも急速に広がりをみせており、政治・アート・教育・宗教界の有力者を告発する女性たちが次々と現れてきた。それでもDさんのケースでは、捜査を担当した警察官から、「前途有望な若い男性の人生を台無し」にしようとする「本当の狙い」は何なのかとの質問が繰り返され、また検察に対しても容疑者を訴追しないよう堂々と働き掛けが行われていたという。
Dさんは仕事を辞め、警察と検察官、そして国立の人権団体にも苦情の申し立てた。すると、相手から立て続けに訴えを起こされ、そして加害者とその友人たちから容赦ない嫌がらせを受けた。
「彼らはブログとチャットルームを立ち上げ、私の名前をさらして公の場で辱め、悪意に満ちたありとあらゆる個人攻撃をしてきた」とDさんは話し、加害者の男がDさんと家族に対して日々、脅迫メールを多数送りつけてきたことを明らかにした。法律の不備をつくこうした行為は、なにも性犯罪に限ったことではない。
建築事務所のある男性従業員は、ネット上で勤め先の給与遅配や不法行為について事細かに明らかにしたことが、雇い主に対する名誉毀損にあたるとして有罪となり、罰金を科せられた。また、美容整形外科医と術後ケア施設について低評価を書き込んだ女性たちが名誉毀損で訴えられ、有罪判決を覆すために最高裁での争いを余儀なくされたケースもある。
AFPBB News 2018年8月18日 10:45
http://www.afpbb.com/articles/-/3185916?page=1&pid=20427608
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