「子供が父と思ってない」「終業時間に海外からメール」 ブラック企業体験談がエグすぎる
しらべぇ編集部が全国20~60代の男女有職者747名に実施した調査でも、男女とも約2割が「今勤めている企業・組織はブラックだと思う」と回答している。
■エピソード募集に体験談が殺到
ともに東大法学部出身の弁護士である南谷泰史さんと早野述久さんが起業した日本リーガルネットワーク社では、GPSを使って残業時間の証拠を自動で残せるスマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発。
さらに、サイトで「ブラック企業でのエピソード」を募集しているが、きわめて深刻な体験談が数多く寄せられているという。その中から、国際化が進むビジネスの中で、決して他人ごととは思えないエピソードを紹介しよう。
■ほぼ終業時間に欧州からメール
エピソードを投稿したwakameさんは、新卒で入った一部上場企業で海外を担当する仕事をしていた。
「新入社員で配属された課は課長を入れて6名。いきなり自分の担当はアジアとヨーロッパだといわれた。その日から朝は8時からアジアと仕事、夕方19時ぐらいになるとヨーロッパから『グッドモーニング』とメールが来る。
こっちはもう定時をすぎてるがそこから普通にやり取りをしていつも24時近くになってタクシーで寮に帰宅。課長は『幼い子供がほとんど会わないので自分が父親と分かってない』と嬉しそうに話し、直属上司は仕事中に過労で倒れ、お見舞いに行った時の第一声が『○○の案件大丈夫?』だった。
画面の向こうで定時に仕事を始め、定時に帰っていく欧州の仕事相手を残業中の自分と比べて、『同じ先進国でなぜこうも違うんだろうか?』と何とも言えない気持ちを抱えながらやり取りをしてました」
■残業時間の倍以上のサービス残業
同じ先進国でも、ワークライフバランスが進んだヨーロッパとブラック企業もはびこる日本。しかし、その格差や時差だけでなく、残業代についても問題があったようだ。
「残業は常に80~100時間だけど40時間以上は書かないように暗黙の了解。一部上場で給料もいいし、金もたまる。でも自分は何のために働いているのか? この先数十年もこの生活に耐えれるのか? 人生はもっといろんなことができるんじゃないか?
悩んだ末に退職を決めました。ブラック企業という言葉が早くなくなる社会を待ってます」
■弁護士の見解は…
wakameさんは脱出することができたわけだが、こうした労働環境に法的な問題はないのだろうか。南谷泰史弁護士に聞いたところ…
南谷弁護士:上場企業にもかかわらず、会社全体の感覚がおかしくなっている職場のようです。「毎月80~100時間の残業をしていた」ということで、残業時間は36協定の上限を超えているでしょうから、このような残業をさせることは労基法32条違反となります。同条は従業員の健康を守る意味がありますので、この違反は大きな問題です。
また、残業時間のうち40時間を超える部分は残業代が払われていないため、残業代未払いとして労基法37条にも違反します。この方の場合、残業中のEメールを証拠にして会社に請求すれば残業代を払ってもらうことが可能だったでしょう。