米国が『米韓同盟の破棄に公式に言及する』末期的な展開に突入。韓国には核の傘を提供しない
「米韓同盟廃棄」カードを切ったトランプ
鈴置:トランプ大統領が金正恩委員長に「米韓同盟破棄」カードを切りました。北朝鮮の完全な非核化が条件です。
5月10日、トランプ大統領はアンドリュース基地でポンペオ国務長官と、彼が取り戻した3人の韓国系米国人を出迎えました。
トランプ大統領は米国東部時間の午前3時ごろ、北朝鮮から戻った政府専用機の横で会見しました。
記者から「何が最も誇らしい成果か」と聞かれ「これ(3人奪還)もそうだが、非核化できればそれが最も誇るべき成果になる」と語ったのです。
注目すべきは「北朝鮮を非核化する」ではなく「半島全てを非核化する」と語ったことです。
北朝鮮に加え韓国も含め非核化する――北朝鮮が非核化に応じれば、米国が韓国に差しかけてきた核の傘も撤去する、つまり米韓同盟を廃棄すると示唆したのです。
これこそ北朝鮮が長らく米国に要求してきたことです。中国もこれを望んでおり、北朝鮮を後押ししています。
── 核の傘の提供をやめることが、同盟破棄につながるのですか?
鈴置:そうなります。仮に北朝鮮が完全に非核化されたとしても、韓国周辺には中国とロシアという核保有国が残ります。
中ロは今後、韓国を核攻撃しても米国による核の反撃を受けないと確信できます。すると、核をチラつかせるだけで韓国を恫喝できるので、韓国は中ロの言うなりにならざるを得ません。
そんな同盟に意味はないのです。中立化を宣言し、周辺大国の緩衝地帯として生き延びた方がまだましと考える韓国人が出るでしょう。
話を戻します。要は、トランプ大統領は、韓国との同盟をやめる、と宣言したのです。北朝鮮が完全に非核化されれば、との条件付きですが。
実はトランプ会見の直前、北朝鮮も興味深い発表をしています。訪朝したポンペオ長官から「新たな対案」を受け取った金正恩委員長が、それを評価し賛成した、というのです。(略)
鈴置:トランプ政権が米韓同盟を捨てる決断を最終的に下したのは、4月27日の南北首脳会談だったと思います。
この日に発表された板門店宣言で、南北がはっきりと「半島全ての非核化」をうたったからです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20130423/247115/