財務省の文書改竄は『特定の用語を隠蔽するためだ』と関係者が指摘。事態は未だ混沌としている模様
財務省の森友学園をめぐる決裁文書が書き換えられたとされる問題で、財務省は週明け2018年3月12日に公表する調査結果で、書き換えがあったことを認める模様だ。書き換えの指示は佐川宣寿・前国税庁長官だったとの報道も出始めた。安倍政権に大打撃を与えるのは必至だ。
「何故書き換えをしなければならなかったのか」。「書き換え」疑惑を報じた朝日新聞の報道では、「本件の特殊性」といった単語が開示された文書からなくなっていたと指摘。仮にこの表現が削除されていたとすれば、なぜ「特殊性」を隠したかったのかがポイントになりそうだ。
■「貸付通達上の特例処理について、本省承認決裁完了」
この「本件の特殊性」という表現は、朝日新聞が書き換え疑惑を報じた決裁文書と同時期の16年5月に決裁された文書でも登場する。この文書は問題となった国有地を1億3400万円で森友学園に売却する方針を国土交通省大阪航空局に通知する内容で、すでに国会などに開示されている。文書の同一性を重んじる行政で、朝日新聞が問題視した文書だけ「特殊性」の表現がなくなっているのは不自然だというわけだ。
この国交省への通知文書では、「財務局と航空局との協議」の項目に「本件の特殊性に鑑み」とあり、「経緯」の項目では、15年4月30日に「貸付通達上の特例処理について、本省承認決裁完了」とある。
3月11日朝放送の「新報道2001」(フジテレビ)では、希望の党の玉木雄一郎代表が、会計検査院が17年11月に公表した検査結果報告書で、値引き額の算定根拠不十分だと指摘されたことに言及。
「財務省が書き換えまでして隠さなければならなかった事実は一体何なのかということに戻るべき」
と主張した。
■「特殊性」は「分割払い」認めたこと指す
片山善博元総務相は、財務省が
「キーワード『特例処理』『本省承認』を出したくなかった」
とみる。それぞれについて、
「単にゴミがいっぱい出てきましたというのは特殊な処理ではない、一般的に処理できる。そうではない特殊性がある」
「本来ならば近畿財務局で全部処理できることだが、ところがこれは本省で承認している。これを出したくなかった。本省で承認するというのはどういう事情があったのか。そこが一番隠したかったポイントで、解明しなければならない」
などと解説した。
「特殊性」という単語をめぐっては、3月9日の野党によるヒアリングで、財務省の富山一成(とみやま・かずなり)理財局次長が、土地代金の分割払いを認めたことを指すことを明らかにしている。ただ、どういった事情で例外的な分割払いを認めたかについては明らかにならないままだ。