文在寅が『日韓合意の再交渉を日本に要求する』と決断して日韓関係は崩壊寸前。日本側は一切応じない構え
2017年12月29日 06時00分
【ソウル曽山茂志】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は28日、従軍慰安婦問題を巡る2015年の日韓合意に関する外務省作業部会の検証結果を受け、「手続き的にも内容的にも重大な欠陥があったことが確認された。この合意では慰安婦問題が解決できないという点を改めて明確にする」との声明を発表した。文氏は関係省庁に慰安婦被害者の声を反映した新たな対策をまとめるよう指示した。
韓国政府は来年1月上旬にも新たな対応方針を打ち出す見通し。聯合ニュースは「文氏は日本に再交渉を求める方針を固めた」と伝えた。日韓で確認した「最終的かつ不可逆的な解決」を文氏が一方的に否定し、再交渉を日本に要求すれば、日韓関係が再び悪化するのは避けられない。
文氏の声明を発表した大統領府高官は、政府として合意破棄を決めたのではなく、日本政府と「対話する意志は十分にある」と強調した。これに対し、日本の外務省関係者は「合意の着実な履行を求める方針は全く変わらない」として、再交渉に一切応じない姿勢を改めて示した。
文氏は声明で、日韓合意が「歴史問題の解決において確立された国際社会の普遍的な原則に反するだけでなく、何より被害者と国民が排除された政治的な合意だった」と批判。合意に反対する市民団体の説得を韓国政府が受け入れるなどの「非公開部分」が明らかになり、「国民に大きな失望を与えた」とした。
一方、日韓関係については「未来志向的な協力に向け、正常な外交関係を回復していく」として、歴史問題と安全保障や経済などの協力関係を切り離す「2トラック外交」を目指す考えを示した。
韓国外務省の作業部会が27日に発表した日韓合意検証報告書は、朴槿恵(パククネ)前大統領側近が対日交渉を主導し、「被害者の意見を十分に集約せずに、主に政府の立場から決着させた。政府間で『最終的かつ不可逆的な解決』を宣言しても、問題再燃は避けられない」と結論付けた。
=2017/12/29付 西日本新聞朝刊=