子どもの性的問題行動「5歳男子が4歳女子の口に性器を含ませた」
「パンツの中に手を入れられ性器を触られた」。「みずからの性器をなめるように言った」。信じられないかもしれませんが、これはいずれも子どもどうしで交わされたやり取りです。いま、全国各地で子どもどうしの性的な問題行動が広がっています。
NHKでは11月、全国の児童相談所にアンケートを行いました。対象にしたのは一般的に性的欲求が低いといわれる思春期前の子どもたちです。調べてみると過去5年間で、少なくとも275件の問題が起きていることがわかりました。
子どもたちに一体、何が起きているのか。背景に迫りました。(高松局・馬場勇人記者)
全国で起きている 性的問題行動とは
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私がこの問題の当事者に初めて話を聞いたのは11月。3年前に被害を受けたいう当時、6歳の女の子の母親でした。同級生の男の子に性器の周辺を触られる被害にあったというのです。
母親は最初に話を聞いた時には、半信半疑だったようですが、その後、男の子が長女の下半身をなで回しているところを目撃し、娘の話が本当だったと確信したといいます。
しかし母親は男の子に「そこは遊びで触るところじゃないんだよっていうのをどういうふうに伝えたらいいのか分からなかった」と当時の胸の内を語ってくれました。
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こうした問題は被害を受けた子ども自身が事態をよく理解できないため表面化しにくいとされています。
そこで全国にどのぐらい広がっているのか、私たちは11月、全国の児童相談所、231か所にアンケートを行い、90か所の相談所から回答を得ました。
対象にしたのは一般的に性的欲求が低いといわれる思春期前の子どもたちです。するとこの5年間で、少なくとも275件の問題が起きていることがわかりました。
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「8歳の男の子が小学5年生の女の子に対して陰部を触ったり舐めたりした」とか「5歳の男の子が4歳の女の子の口に性器を含ませた」という衝撃的な内容も含まれていました。
性的な問題行動はなぜ起きるのか。取材を進めていくと、実際に問題行動をした子どもが通っていた保育園の保育士に話を聞くことができました。
保育士によりますとその子どもは家で父親がアダルトビデオを見たり、暴力的なビデオを見たりしていたといいます。
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この子どものように刺激の強い性的な映像を見たことが問題行動につながる可能性を示唆した研究がアメリカの大学で行われていました。2002年に発表された研究論文には性的な問題行動を起こした3歳から7歳までの子どもを対象に調査が行われ、
テレビで裸の大人を見たことがあるは46%、テレビで性行為を見たことがあるは35%という結果が報告されていました。
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最近では子どもが親のスマートフォンやタブレットなどに触れる機会も増えていますし、広告のサイトなどで予期せずに性的な映像が現れ、見てしまうおそれも出てきています。
脳科学の視点からも警鐘
この問題を脳科学の視点から警鐘を鳴らす専門家がいます。医師の加藤俊徳さんによりますと、子どもの脳は善悪を判断する前頭葉がまだ発達していないため、性的な映像を見て、善悪の区別をしないまま真似をすることがあるといいます。
また、加藤医師は「ポルノ写真やそのたぐいのDVDやビデオなどをどの程度、どの時期に制御すべきか。子どもを持つ親は非常に関心を向けるべきだ」と指摘したうえで、身近に氾濫する性的な映像が子どもの目に触れないよう親が配慮すべきだと警鐘を鳴らしています。