建物崩壊が続出した韓国地震で『悲惨すぎる地震対策』が露呈した模様。被害甚大なのは必然だった
15日午後に起きた慶尚北道浦項市を震源とするマグニチュード5.4の地震では、多くの建築物がもろくも破損し、大きな被害が出た。同市北区興海邑の韓東大キャンパスでは、建物の外壁の大半が落下し、北区長城洞の高層マンションでは1階から9階辺りまで窓枠に沿ってひびが入った。
柱で建物を支えるピロティ構造の建物では、柱が破損し、危険そうに見える場所が目立った。ヒリム総合建築士事務所の担当者は「れんが造りの老朽住宅、ピロティ構造の多世代住宅などが特に地震に弱かった」と指摘した。
昨年9月に慶尚北道慶州市を震源とする地震が起きて以降、建物の耐震設計に対する関心が高まったが、韓国の建物は多くが依然として地震被害に無防備だ。韓国で耐震設計が施された建物は5棟に1棟程度だ。
国土交通部(省に相当)が先月、国会議員に提出した資料によると、韓国全土の耐震対象民間建築物264万9802棟のうち、耐震設計がなされた建築物は54万1095棟(20.4%)だった。
地域別では釜山市で耐震設計が最も普及しておらず、建物21万3644棟のうち、耐震設計が施されたのは2万8798棟(13.5%)にすぎなかった。江原道(15.2%)、大邱市(15.4%)でも地震に弱い建物が多かった。慶州市、浦項市など昨年以降、地震被害が出ている慶尚北道では21.0%だった。ソウル市でも耐震設計がなされているのは18.3%で、全国平均を下回った。耐震設計の比率が最も高かったのは、建物が新しい世宗市で34.2%だった。
耐震設計が施された公共施設は40.9%で、特に学校が問題だ。鉄道、橋りょうなどのインフラは80~90%が耐震設計だが、幼稚園、小中高校の耐震設計は25.3%にすぎない。建築専門家は「学校は相対的に小面積で使用人数が多いが、40-50年前にれんが造りで建てられたものが依然多い。れんが造りの建物は耐震補強が不可能で、地震に備えるには建て替えが必要だ」と指摘した。
その上、耐震設計の補強も政府の計画によれば、長期を要する。2020年までに2兆8267億ウォン(約2900億円)を投じ、耐震建築物の割合を54%に高めるという政府方針では、空港は来年、鉄道は19年には全施設の耐震化が完了する。しかし、学校の耐震化完了は17年後の34年にずれ込む。
耐震対象建築物の範囲はこれまで拡大されてきた。30年前の1988年時点では、延べ床面積10万平方メートル以上または6階以上の建築物が耐震設計の義務化対象だった。しかし、現在は2階以上、延べ床面積500平方メートル以上で耐震設計が必要だ。政府は今年末までに耐震設計の対象を全ての住宅と延べ床面積200平方メートル以上の建物に拡大する方針だ。
耐震設計を採用した建物も地震が起きれば亀裂などの被害が避けられない。大林産業技術開発院のキム・テホ博士は「耐震設計の目的は建物が崩壊したり、大きな人命被害が出たりしないためだ。壁にひびが入ったり、耐震性が低い構造物が崩れたりする被害は避けられない」と述べた。キム博士は「マンションの場合、窓の部分が構造的に一番弱いため、ひびが生じやすい」と指摘した。
韓国建設産業研究院のチェ・ソクイン技術政策研究室長は「新築建築物や大型インフラは耐震設計や管理がしっかりしているが、老朽住宅や焦点など小規模生活施設は地震リスクに弱い。そうした施設の現状を速やかに把握し、耐震補強措置を講じる努力が求められる」と話した。
2017/11/16 08:47
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