平昌五輪のプレ大会で『日本人客が悲惨な待遇に涙する』悲劇が発生。組織委がまともな対応を行わず
来年2月に実施される平昌五輪のテスト大会を兼ねたフィギュアスケートの四大陸選手権が2月19日まで韓国・江陵で開催された。五輪組織委員会は日本人観光客だけで4000人が集まったと推計。その熱狂ぶりに韓国SPOTV NEWS(電子版)は「『羽生応援』日の丸の波 江陵は日本ホームグラウンド?」と皮肉を込めて報道した。ところが、この皮肉が笑えない。
日本語で対応できるスタッフを準備したものの、単純計算で1人で日本人観光客444人に対応するような状況にしかならず、朝鮮日報は日本人ファンの「『言葉が通じなくてかなり迷った』と不便さを訴えた」という声を紹介し問題視した。他のテスト大会でも運営の未熟さが指摘され、「基本中の基本」が欠落するお粗末さばかりが改めて浮き彫りになっている。
2月16日から4日間行われた四大陸選手権。朝鮮日報によると、大会前の2月13日にはインターネット販売で入場券が3万1900枚販売されていた。ソウルで15年に開催された同じ大会(6500枚販売)の約5倍に上る。
平昌五輪で五輪連覇に挑む羽生結弦(22)が本番のリンクの感触を確認するために出場。「氷上の王子」として絶大な人気がある選手だけに、日本から大挙してファンが押し寄せることは簡単に予測できるはず。
朝鮮日報は、五輪組織委員会が大会10日前に慌てて江陵市に日本語通訳ボランティアの用意を要請したとした。ただ人口22万の地方都市。対応しきれるわけがない。案の定、会場に割り振られたボランティアは計9人だったとか。4000人が集まったと推計される日本人観光客に対し、1人で444人に対応しなければならない計算になる。とても不可能だ。
しかも、会場内の2カ所の売店にも日本語ができるスタッフがおらず、せっかくの「羽生特需」を逃す結果になっていたのではないか。
しかも、江陵市内の宿泊施設は不足。一部観光客は近隣市の宿泊施設に泊まったようだが、地元の宿泊業者の関係者は「今は日本語や中国語を話せるスタッフがいる宿泊施設がほとんどない」とした。関係者は「今後1年で通訳問題の解決が急がれる」と改善を口にしたが、今から人材育成していては時間が足らず、韓国内から招聘するしかないはず。
それなら、組織委が今回も対応できたはずではないか。今回5泊6日のツアーで約320万ウォン(約31万円)を支出した日本人観光客にとって五輪プレ大会を満喫できたか疑問が浮かぶ。
さらに、アイスダンスの表彰式では優勝したカナダの国旗が巻かれたままで掲揚される失態を演じていた。
2月9日から4日間実施された国際スケート連盟(ISU)スピードスケート種目別世界選手権でも、本番1年前のテスト大会としては「運営が未熟」との指摘が少なくなかったと朝鮮日報は伝える。
車で1時間の距離にある公式宿泊施設と競技場を結ぶシャトルバスが5台しかなく、しかも運行間隔が30分~1時間15分などと不規則なうえ、翌日のシャトルバスの運行時間が前日夜になってやっと決まるという杜撰ぶり。カナダ代表チームの関係者が「練習予定も立てられない」と嘆いたほどとか。
同紙が「全世界に生中継される五輪だったら恥をかきそうなひと幕もあった」と嘆いたのが、場内アナウンス。女子3000メートルで「レディー(用意)」の号令の後に選手紹介がなされたという。
実際にフィギュア会場でボランティアを務めた人はインターネットに「バックステージはひどかった。準備もろくにできていないし、地域の祭りかと思った」と呆れたコメントを寄せたほどだ。
韓国内の五輪関心が半数(48%)にも満たらず、150万人の外国人観光客に盛り上がりを期待する姿勢が口先だけだと分かるお粗末ぶりだ。組織委関係者は「明らかになった問題点を把握し、完璧な五輪になるような計画を立てる」と語る。五輪自体は開催されても、不適切な運営ばりが指摘される史上最低な大会になる雰囲気に満ちあふれているとしか言いようがない。
http://www.sankei.com/premium/news/170328/prm1703280001-n1.html
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平昌五輪のテスト大会を兼ねた四大陸選手権に出場したフィギュアスケートの羽生結弦。(AP)