天声人語の捏造疑惑に『論説委員室が最悪の弁明をして』嘲笑の的に。ファクトチェックが全くできていない
トランプ氏への嫌悪感を漂わせる朝日は、2月10日付の名物コラム「天声人語」にこう記した。
〈安倍晋三首相が首都ワシントンに続けて向かう先は、南部フロリダ州の高級リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」(以下マール)である。トランプ大統領が所有し、別荘としても使う〉
〈もとはシリアル食品で財をなした穀物王の娘が1920年代に建てた邸宅である。一目見て気に入ったトランプ氏はまず目の前の砂浜を買い取る。「壁を作って海を見えなくしてやる」と相続人らに迫り、豪邸を破格の安値で手に入れた。よほど壁が好きなのだろう〉
いかにも朝日が好みそうな、トランプ氏の傲岸不遜な逸話である。しかし、
「おそらく、『元ネタ』は一昨年11月14日付のワシントン・ポストの記事だと思うんですが……」
と、ある朝日ウォッチャーは指摘する。そこには、
「トランプにインタビューした話として、天声人語に酷似した内容が載っています。彼はマールを購入するために2800万ドルを提示したものの、断られると強気に出て、真ん前の海岸(砂浜)を第三者から購入し、そこに醜い家を建ててマールからの見晴らしを台無しにしてやると語っていた、というものです」
なお、朝日に引用元は示されておらず、先のファクトチェックコーナーが始まったのは、件(くだん)の天声人語と同日である。
■トランプ氏お得意の…
現地で40年以上、高級物件を専門に扱ってきた不動産屋の店主が後を受ける。
「私はマールについて詳しく知っていますが、トランプが先に砂浜を買っていたなんて話は聞いたことがない。だいたい、パーム・ビーチ(マールのある地域)は建築基準がとても厳しく、醜い家を建てるなんて計画は通らないはずです」
また、先のワシントン・ポストから約1年後の米誌「ヴァニティ・フェア」にはこんな記事が出ている。
〈トランプはマールの買収が成立するまでは海岸を購入していない〉
さらに、不動産取引記録が閲覧できるフロリダ州の公式サイトを確認すると、トランプ氏のパーム・ビーチでの不動産取引は、いずれも1985年12月27日。
これらの情報から判断すれば、マールを安く買う「ディール」のために、事前に近くの砂浜を買って嫌がらせをしたという「トランプエピソード」は、まさに彼が得意とする「大風呂敷」だったことになる。
朝日新聞社論説委員室の弁明。
「天声人語は多種多様なテーマを取り扱っており、取り上げる事実と、その情報の出所や経路は多岐にわたります。執筆の詳細な経緯については通常お答えしておりません」
結局、トランプ氏の発言をファクトチェックしたのかについては答えずじまい。
裏取りなき報道を、世間では「前のめり」と言う。