『本当に損害を被ったのは中露だけだ』と専門家が”最悪の時期だった”と暴露。踏んだり蹴ったりな状況な模様
北朝鮮がミサイル発射を強行したのを受け、米政権は軍再建を本格始動させる方針だ。韓国では、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の早期配備が重要との声が高まっている。中国は韓国配備の動きが加速することを懸念。ロシアは対話での事態打開に期待を寄せている。
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【ワシントン=加納宏幸】北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、「米軍再建」を主張してきたトランプ米大統領は近く米議会指導者との間で予算措置を含めた対応を協議する。ミラー米大統領補佐官(政策担当)が12日、明らかにした。トランプ政権はオバマ前政権下で国防予算が削減されたことによる軍事力の低下を懸念してきた。陸軍新兵の募集目標を6千人上積みする案などが検討されている。
ミラー氏は米CBSテレビの番組で北朝鮮による弾道ミサイル発射に言及した上で、「偉大なる米軍の再建を始める。大統領は米議会に行き、疑う余地のない軍事力を再び持つため軍への投資を要請することにしている」と述べた。
これに関連し、USA TODAY(電子版)は12日、陸軍が今年秋までに予定している新兵の募集目標を6万2500人から6万8500人へ6千人上積みする計画だと報じた。1973年に完全に志願兵制になって以来、最大の募集で、約3億ドル(約340億円)の追加予算が必要。
上下両院で共和党が過半数を握る米議会は昨年12月、オバマ前大統領が提案していた2017会計年度(16年10月~17年9月)の陸軍現役兵力46万人の充足目標を約47万6千人に上積みする国防権限法を可決し、オバマ氏の署名で成立させた。同法はこのほか空軍4千人、海軍2200人、海兵隊800人をそれぞれ追加した。
陸軍の新兵募集目標の引き上げはこれに伴う措置。同紙によると空軍や海軍も新兵募集を加速させる。
アフガニスタン、イラク両戦争の終結を公約したオバマ氏は13年から歳出の強制削減を実施するなど国防費の削減を進めてきた。米シンクタンク、米戦略予算評価センター(CSBA)によると、10会計年度から14会計年度にかけての下落幅は21%。訓練や装備品調達にしわ寄せが出ており、米軍の即応力や抑止力への影響が懸念されていた。
トランプ氏は「米軍が劣化した」とし、政策転換を主張。1月27日に米軍再建の大統領令に署名し、1カ月以内に即応性を検証し、来年1月をめどに国防戦略を策定するよう命じ、ミサイル防衛の強化も求めた。トランプ氏は大統領選で海軍艦艇を350隻▽陸軍現役兵力を54万人▽空軍戦闘機を1200機▽海兵隊を36大隊-にそれぞれ増強する計画を発表した。
■中国、日米結束強化に焦り
【北京=藤本欣也】中国外務省の耿爽報道官は13日、弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対し、「国連安全保障理事会の決議に違反して発射活動を行うことに反対する」とコメントした。一方で「北朝鮮の核・ミサイル問題の根源は、北朝鮮と米国、韓国との対立にある」と指摘した上で、中国は関係各国に「対話を促す」などと述べ、改めて“責任転嫁”した。
ミサイル発射後、日米欧各国から非難声明が相次いで発表されたが、中国政府は1日以上、だんまりを決め込んだ。今年後半に中国共産党大会を控え、北朝鮮問題が権力闘争にも飛び火しかねない中、習近平政権がいらだちを募らせているのは間違いない。
まず、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、米国主導のミサイル防衛網整備の呼び水になってしまう。
中国は「地域の安全保障上の利益や戦略バランスを損ねる」として、米軍のTHAADの韓国配備に激しく反対してきた。しかし、北朝鮮のミサイル発射で韓国の配備推進派を勢いづかせる結果を招いた。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報によると、遼寧社会科学院・朝鮮半島研究センターの呂超主任も「北朝鮮問題で中国はまたしても、とばっちりを食った」と指摘。「THAAD問題で中韓関係、中米関係が著しく損なわれても、北朝鮮にとって悪い話ではない。本当に損害を被るのは中国とロシアだ」との見方を示す。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170214/frn1702141530007-n1.htm
(>>2以降に続く)