中国版エアフォースワンの『色々な意味で情けない正体』が暴露され日本側騒然。自前でやれよ!とツッコミ殺到
米国の中国語ニュース・サイト「多維新聞ネット」が一月末に配信した記事によれば、現在製造中の中国初の「エアフォースワン」はほぼ完成しており、年内にも就役する可能性があるという。「エアフォースワン」は中国語で「空軍一号」と書く。最高指導者、習近平国家主席(63)の専用機を指す。「素晴らしい。ついにわが国も空軍一号を持つようになったのか」と中国国内の軍事ファンサイトなどに興奮気味の書き込みが多く寄せられた。
同記事などによれば、同専用機は2014年12月に米国から購入したボーイング747-8型機で、ドイツの工場で約一年をかけて改造し、現在は中国国内の工場で塗装作業と最終チェックを行っている。
習氏は現在、外遊などの際は、中国の航空大手、中国国際航空のボーイング747-400を利用している。16年前から使用したもので、老朽化が進んでいるほか、通信システムの安全性が不十分で、飛行機から出す指示が他国に傍受される恐れがあるという。
これに対し、新しい「エアフォースワン」は安全性を重視した最先端の通信室があるほか、対空ミサイル攻撃に対する防御手段として、ミサイル警報装置や赤外線誘導ミサイルの誘導を妨害する装置などを備えているという。「“指導者を運ぶ乗り物”から“中国の空中司令部”になる」とテレビで論評する軍事専門家もいる。
中国の指導者にも米国並みの「エアフォースワン」を利用すべきだという構想は以前からあったが、中国国内には大型飛行機を生産する能力がないため、外国産のものに頼らざるを得ない事情などで、なかなか実現できなかった。
2001年、米国から購入した中国最高指導者の専用機に盗聴器が仕掛けられたことが発覚したことの影響も大きい。
当時の米国紙ワシントン・ポストなどの報道によれば、中国が同年9月、米国から購入したボーイング767型機の江沢民国家主席(当時)の専用機の試験飛行を行った過程で、奇妙な妨害電波の騒音を見つけた。軍総参謀部第3局(情報)担当が調べたところ、機内の内装の中に隠されていた27個の盗聴器を発見した。「衛星で操作される高性能機であり、機内の会議室、ベッドやトイレなどに仕掛けられていた」という。
米ホワイトハウスの報道官はこの件について「方針としてそうした話にはコメントしていない」と述べ、米国の関与について肯定も否定もしなかった。
この事件を受け、共産党内部で「重要事項を外国産飛行機で決めるのが危険」との意見が高まり、中国版エアフォースワンの導入が見送られた。しかし、近年、習近平氏への権力集中に伴い、外遊中の習氏に指示を仰ぐ緊急案件が急増し、エアファースワンの導入を求める声が再び高まった。
今回の飛行機は、使用する前に1年間をかけて第三国のドイツで改造したのも、盗聴防止など安全面をチェックするためとみられる。しかし一方、中国国内で「盗聴技術が進歩しており、外国製飛行機を使うべきではない。エアフォースワンは自国産飛行機を待つべきだ」という声は依然としてある。
中国初の「エアフォースワン」は年内に果たして就役できるのか、注目される。
(外信部編集委員)
http://www.sankei.com/premium/news/170210/prm1702100001-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/170210/prm1702100001-n2.html
http://www.sankei.com/premium/news/170210/prm1702100001-n3.html
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1月15日、スイス・チューリヒの空港に到着した習近平・中国国家主席夫妻(中央)=AP
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1月15日、スイス・チューリヒの空港に到着し、歓迎式典に臨んだ習近平・中国国家主席夫妻(左の2人)=AP
http://www.sankei.com/images/news/170210/prm1702100001-p3.jpg
昨年12月6日、米メリーランド州・アンドルーズ空軍基地にある米大統領専用機「エアフォースワン」(ロイター=共同)
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米ハワイ・ホノルルのヒッカム空軍基地に到着した、安倍首相らを乗せた政府専用機(左)。右は米大統領専用機「エアフォースワン」=昨年12月26日(代表撮影・共同)