『仏像を返還しないなら大変な事になる』と読売新聞が”韓国擁護”を完全放棄。韓国裁判所の判断は受け入れがたい
対馬仏像判決 韓国は法治国家の常識を守れ
2017年01月28日 06時57分
韓国の司法が、国際的な常識に外れる判決を出した。日韓関係を一段と冷え込ませる材料がまた増えたと言えよう。
韓国の大田地裁が、長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像を、韓国中部の浮石寺に引き渡すよう政府に命じた。浮石寺に所有権があると認めたものだ。
判決は、高麗時代に制作された仏像が対馬に渡った経緯について「盗難や略奪などで運搬されたとみられる」と推定した。14世紀に倭寇わこうが仏像を奪った、という浮石寺の見解に沿った判断だ。
当時、倭寇が浮石寺の周辺地域で活動した記録はあっても、仏像を奪ったとの確証はない。韓国政府の調査でも、略奪された可能性は大きいが、断定できないという。地裁の判断は受け入れ難い。
約700年前に遡そ及きゅうし、明確な根拠がないまま、所有権を認定するのは無理がある。法治国家ならば、盗品は対馬の観音寺に戻し、原状を回復すべきである。
韓国では、日本による植民地支配を不法な収奪だと、一方的に決めつける歴史教育が実施されてきた。判決は、これにより醸成された国民の反日感情に迎合した面があるのだろう。
日本は韓国に再三、早期返還を求めており、仏像の扱いは日韓の外交問題になっている。菅官房長官は判決について、「極めて残念だ。韓国政府側に適切な対応を求めていきたい」と強調した。
韓国政府は、判決を不服として控訴した。浮石寺への引き渡しに応じず、日本への返還に向けて、具体的に行動してもらいたい。
日韓両国は1965年の国交正常化の際、文化財協定を結び、朝鮮半島に由来する多数の美術品や図書などを引き渡した。財産請求権は、請求権・経済協力協定で、最終的に解決されている。
日本の植民地支配などに伴う文化財の帰属問題を巡っては、韓国に返還する法的な義務はない。
日韓併合100年の2010年に、菅首相が李王朝ゆかりの朝鮮王朝儀軌を「韓国の人々の期待に応えてお渡ししたい」と表明し、翌11年に実行された。
日韓関係を改善する善意の措置だったが、韓国に、さらなる要求が可能になったという誤ったシグナルが伝わったのではないか。
観音寺は、仏像は友好の証しとして朝鮮半島から伝来したと説明する。数百年の間、信仰の対象となり、長崎県の有形文化財にも指定されている。仏像が返されないなら、日本国民の嫌韓感情が高まることは避けられまい。
http://sp.yomiuri.co.jp/editorial/20170127-OYT1T50182.html