『仏像問題で日本が韓国に制裁するのは困難だ』と韓国専門家が”報復はない”と判断。ただ大使帰任は遅くなるだろう
【ソウル聯合ニュース】
韓国人が長崎県対馬市の寺から盗んで韓国に持ち込んだ仏像について、元の所有主と推定される韓国の寺に引き渡すよう命じる一審判決が出たことで、冷え込んだ韓日関係への影響が注目される。
この仏像「観世音菩薩坐像」(長崎県指定有形文化財)の所有権を主張する韓国最大の仏教宗派、大韓仏教曹渓宗の浮石寺(忠清南道瑞山市)が仏像を引き渡すよう韓国政府に求めた訴訟の判決で、韓国の大田地裁は26日、同寺の請求を認めた。
観世音菩薩坐像は2012年10月、韓国人の窃盗団が対馬の観音寺から盗み、韓国に持ち込んだ。
窃盗団は韓国で検挙され、仏像は押収された。浮石寺側は観世音菩薩坐像が数百年前に日本の倭寇(わこう)に略奪されたものだと主張し、大田地裁は13年2月、正当な手段でこの仏像を取得したことが証明されるまで日本側に返還してはならないとする仮処分決定を下した。
この件は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして韓国で在宅起訴され、その後無罪となった産経新聞記者の事件と併せ、韓国司法府の手に委ねられた韓日関係の重大な変数として日本のマスコミから大きな関心を集めた。
また、ここ4~5年の間に日本で嫌韓世論が強まる一因ともなった。
韓国国内ではこれまで、「歴史的正当性」を掲げて浮石寺の所有権を認めるべきだと訴える声があった一方、今後の日本との文化財返還交渉のことを考え、盗んで持ち込んだ仏像はひとまず日本に返還すべきだとの意見もあった。
日本政府は、韓国の判決にすぐさま反発した。菅義偉官房長官はこの日の記者会見で「返還が実現していないこの仏像が早期に日本に返還されるよう、韓国政府に求めてきている。その中で、そうした判決が出たことは極めて残念だ」と述べた。
この件は、釜山の日本総領事館前への旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像設置を管轄自治体が黙認した一件とは違い、司法府の所管のため、日本政府がこれに関して何らかの「報復措置」などを取るのは難しいともみられている。
だが、韓国に対する日本の世論がさらに悪化すれば、少女像設置の対抗措置として今月9日に一時帰国した長嶺安政駐韓大使の韓国帰任が一段と遅くなるとの見方が強い。
韓日関係に、少女像、独島をめぐるあつれきに続くもう一つの「重荷」が加わった格好だ。
2017/01/26 16:33
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