「韓国の設定した土俵に日本政府は絶対乗らなかった」と関係者が指摘 米国を味方に付けることに成功した
日本政府は、韓国からの輸出管理厳格化の撤回要求を拒否し続けた上、米国が韓国に圧力をかける構図を作り上げたことが、韓国政府の今回の決定につながったとみている。日本政府は貿易管理をめぐる当局間の協議再開には応じるものの、「一切妥協はしない」(政府高官)方針だ。
「ほとんどこちらのパーフェクトゲームだった」
韓国政府の突然の方針転換に日本政府高官はこう語った。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告を改めさせ、日米韓の安全保障協力が維持されるからだけではない。日本側の予想を超え、韓国が輸出管理の厳格化をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴手続きまで見合わせたからだ。
韓国側は8月下旬、日本政府による対韓輸出管理厳格化への対抗措置としてGSOMIAの破棄を決定し、破棄撤回の条件として輸出管理厳格化の見直しを求めていた。
韓国側の態度が変化したのは「ここ2、3日」(政府筋)だったという。
日本政府は「GSOMIAと輸出管理は次元が違う」として韓国側が設定した土俵には乗らず、「賢明な対応」(菅義偉官房長官)を促し続ける戦術を徹底した。政府高官によると、米国は「トランプ米大統領は安倍晋三首相側に立つ」と韓国側に伝えており、日本政府は米国の韓国に対する圧力が非常に強かったとみている。
日本政府は、日韓共通の同盟国である米国と課題意識を共有してきた。外交・安保関係者の間では、GSOMIAの破棄で最も影響を受けるのは米国だとの見方が強いからだ。外務省関係者は「首相はトランプ氏に対し、いかに韓国の対応がおかしいかを繰り返し説明してきた」と明かす。
さまざまなレベルでの働きかけの結果、GSOMIAの破棄は米韓の問題でもあるとして「米国から韓国にガンガン言ってもらう」(外務省関係者)形に持ち込むことに成功した。
文在寅政権は強気の言動を繰り返していたが、日本側のぶれない姿勢と米国の強い圧力を前に、実際は「追い詰められていた」(官邸関係者)とみられる。
首相は22日夜、森喜朗元首相らと東京都内で会食した。出席者によると、首相はGSOMIAの失効回避について「よかった」と話していたという。(原川貴郎)
https://www.sankei.com/politics/news/191122/plt1911220062-n1.html