『韓国企業は軒並み破綻に追い込まれる』と専門家が”競争敗北の悪影響”に恐怖。一体誰が責任を取るつもりだ?
海運世界最大手のマースクは9月初め、アジア、米州路線の運賃を突然30%値上げした。世界7位、米州路線では世界4位の競争力を持つ韓進海運が法定管理(会社更生法適用に相当)に入った直後のことだった。
中国の世界貿易機関(WTO)加盟、BRICsの急成長、米国の好況などで過去最高の好況を迎えた時代もあった。当時韓国だけでなく、全世界の海運会社が相次いで船舶を購入またはリースし、経営規模を拡大した。しかし、2008年の世界的金融危機をピークに景気低迷が襲い、事情が変わった。
貿易量は激減し、高額で購入した船舶は遊休状態となった。すると、海運会社は低運賃を提示し、身を削る価格競争を始めた。それは現在でも続いている。競争に耐えられずに廃業する海運会社が出ると、同業が弱肉強食式に生き残るというのが、世界の海運市場で起きているチキンゲームだ。需要に対する供給(海運業者数)が減れば、運賃が上昇し、収益性が改善する。
こうした恐ろしい競争の中、韓進海運は世界上位10社で最初に破綻した。その結果、生き残った企業だけの「小さな祭り」が最近の30%値上げだ。韓国は祭りから脱落したことだけが悔しいわけではない。韓国の輸出中小企業と中小物流企業は生き残りを懸念している。運賃上昇で直撃を受けているからだ。
業界関係者は「サムスン電子のような大手メーカーやCJ大韓通運のような物流企業は持ちこたえられるだろうが、中小物流・輸出業者は致命傷を負っている。業界団体のような組織も機能せず、声も上げられずに死にゆくだけだ」と話した。
問題は今後韓国の海運業のビジョンがさらに絶望的なことだ。韓進海運は既に空中分解しつつある。ソウル中央地裁破産部はこのほど、韓進海運の優良資産である米州-アジア路線の売却公告を出した。それを売ってしまえば、韓進海運は跡形もなくなる。
それでもどうにか生き残っている世界13位の現代商船の競争力はどうか。今後行われる現代商船の資産売却の先行きは暗い。2014年に液化天然ガス(LNG)事業部門を1兆1000億ウォン(約990億円)でプライベート・エクイティー・ファンドのIMMインベストメントに売却した。同事業は年間30兆ウォンの独占調達能力を持つ韓国ガス公社と2028年まで長期輸送契約を結んでいただけにまさに優良資産だった。韓国のLNG需要の20%を占める国家戦略事業の一部でもあった。韓国はこのように何もかもなくしても海運業の競争力を維持できるだろうか。韓国政府は韓進海運が健在だった当時、世界6位だった韓国海運業が世界5位に浮上するとまともに信じていたのだろうか。いずれ海運業が崩壊した場合、誰がその責任を負うことになるのか気になる。
李仁烈(イ・インヨル)産業1部次長
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/11/07/2016110700502.html